母の前では ひたすら人形のように固まり
表情を殺し、押し黙り、黙々と一人遊びをした




父の吸うタバコの煙に魅入られて
うつろな目でいつまでもいつまでも目で追った

ある時、家族と歩いていたら
父の持っていたタバコが腕に当たって
じりじりと皮膚が焦げる匂いがした

私はそれを ぼうっと眺めていた



トイレに入ったら
目の前に蜘蛛が這うのを見つけて
しゃがんだままクモの脚の動きをずーっと観察した

物音に振り返ると、
心配して様子を見に来た母が ドアの陰からのぞいていた

“変な子やねぇ”



一人でお風呂に入れるようになると
はじけとぶ水滴の美しさにとりつかれ
何度も何度も浴槽の水をはねあげた

2時間以上もそうしていたので、
指がしわしわふにゃふにゃになった

いつまで入ってるの!!と母の怒鳴り声に我にかえる

怖くて怖くて、仕方なかった



妹と、床屋に行った

待っている間じゅう
壁紙の連続モチーフをずうっと目で追っていた

そうでない時は 理容師の手元を凝視しつづけた

“観察ばっかりして気味悪い子やわ~”

と苦笑いした理容師のおばさんに
どう反応したらいいのか分からず...やはり、無表情



姉が読んでる絵本を横から奪って
すごいスピードで声を張り上げて読んだ

“頭がいいね”
“この子は天才ね”

と母。

黙読できるようになると
本に覆い被さったまま 深くて長い没入が始まった

周りの声も音もまったく聞こえなくなり
今度はそのことで怒られた

“さっきから何回呼んでると思ってるの!!”

怖くて怖くて、仕方なかった



園の先生は“すごく頭がいい子です”と。

それなのに、自分でトイレに行けなかった。
最初の一年は おもらしばかりしていた。


お昼寝ができなかった

保育園のお昼寝の時間に寝られなくて
何度も“ちゃんと寝なさい”と叱られた


小学校にあがってからも 何度もおもらしをした。

母に内緒でよく後始末をした(つもりだった)けど、
家のことで きりきりまいだった母が
気づいていたのかは 分からない



決まりを言い渡されると
どんなコトがあってもそれを守り他人にも強制する

小学校では

“○○しましょう”
“△△はやめましょう”

突然決まりが増えて 私はひたすらそれを守った

だから先生には気に入られて 優等生扱いだった

“皆さん、ススさんのようにしましょう”と。

ますます、決まりを破れなくなった



最初の通知表には“正義感が強い”の文字

4年生の子に大声で注意をし
帰り道に後をつけられ、どつかれた



不器用で お手伝いがヘタで
どうしても上手くできなくて、母をイライラさせた

夏休み、母は仕方なく「玄関そうじ」を私に言いつけた
手順を一から教わり、同じやり方を繰り返すだけなら大丈夫だったから。
毎朝、タタキを完璧に掃きあげた。

だけど、部屋の中はぐちゃぐちゃ。



低学年までは“疲れた”が口癖の子供だった

ある日、テレビのインタビューで あるタレントが

“僕は『疲れた』とは絶対言いません。
 『疲れた』って言うと、周りがいい気分しないでしょう?”

と話すのを聞いて、それから一切言わなくなった

そして、私の疲れに誰も気づかなくなった




ごめんなさい みんな。


ごめんね わたし。


泣かないで。


ううん、思いきり泣いていいのかな。


私に指令を出すのは私。


どうしたらいいのか
どうしたいのか


選ぶことが いちばん 難しかった。
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by susu_canta | 2008-04-26 11:50 | ACと発達障害  

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